念願のUTMB

 UTMBとはウルトラトレイル・ドゥ・モンブランの略称で、フランスのシャモニーを基点として行われるトレイルランニング世界最高峰のレースのことです。2017年弟が100マイル(170km)のレースに参加しました。僕はそのサポート役(休憩所で待ち構えていて、食料を補給したり身の回りの世話をします)で参加してUTMBのレースを知りました。UTMBのメインレースは100マイルなのですが、15kmから300kmのレースまで何種類もあり非常に盛り上がります。トップランナーへの応援はもちろんのこと、一般ランナーへの応援も非常に盛んでいつか僕も参加したいと思っておりました。
 2020年いろんなレースを重ね、やっと参加条件を満たす事ができたためUTMBの100マイルに参加できることになりました。しかし、その後のコロナ禍・・・。大会は中止にならなかったものの、とても渡航できる雰囲気ではなく棄権することになりました。2021年は大会中止。2022年は参加登録をしたものの開院間もなく、発熱したら飛行機に乗れない時代でしたのでこれも棄権しました。2023年は参加基準が期限切れで申込みできず。満を持して2024年やっと参加できることになりました。
 今回のレースも弟と一緒に走りました。弟は100マイル以上のレースに何度も参加しており、頼りになります。昨年夏の100マイルレースに参加した時は昼間の暑さにやられてしまい、コースの半分以上を食欲不振・吐き気・嘔吐に苦しみましたので、決して無理しないをコンセプトに走りました。
 レースは金曜日の18時スタートです。スタート地点のシャモニーでは沿道にたくさんの観客がおり、カウベルを鳴らして応援してくれます。バーの前ではお姉さんがトレーの上にビールを乗せて待っており、ランナーがそのビールを手に取って飲むと周囲の観客が大声援を送る、そんなお祭り気分もあるレースです。夜間は順調に進みます。まだ序盤ですしね。深夜でも大きな集落を通るたびに沿道の観客から大声援をもらいテンションが上がります。やっぱ参加してよかった。翌朝9時に80km地点にあるイタリアのクールマイユールに到着です。ここがエイド(休憩と補給を行うところ)の中では一番大きいところで、預け荷物を受け取れます。荷物を入れ替え後半戦スタート。ところが、日差しが超暑い・・・。日陰はまだいいのですが、日なたは死にそう。すぐに5kmで800mほど上昇するヤバい登りがあり、トボトボ「無理しない無理しない」と思いながら登ります。登り切ると草原地帯を進むのですが、日差しを遮るものがなくくそ暑い。体に水をふりかけて進みます。ただここが一番景色が良いところなのです。グランジョラスが一望できるボナッティ小屋では芝生で昼寝したい・・・の思いが何度も頭をよぎりました。水分と塩分をこまめに摂取し、エイドでは10分ほど横になって休憩し、出力を落としてなんとか凌ぎました。ただこの後の登りがしんどい。100km〜110kmのこの地点が一番辛かったぁ。その後、2晩目に突入です。夜になり日差しが落ちると少し回復。そもそもだいぶ来ているので元気というわけにはいきませんが、走れるようになりました。気づいたらスイスに突入。シャンペ湖という昼間に通過すれば綺麗な湖の脇を通過し、明け方には再びフランスへ。ゴールのシャモニーには日曜日午前11時過ぎに帰ってきました。沿道にはスタートの時と変わらず大勢の観客が応援してくれます。頑張ってよかったぁと思う瞬間です。これを味わいたくてフランスまでやってきたのです。どのレースでも、なんでこんな事やってるんだろうって思うのですが、努力が実る瞬間っていいですよね。41時間14分でゴール。今まで以上に頑張っていたのでしょうか、その後は今まで以上に疲労が襲ってきて数日は屍のようでした。
 もしお時間があれば弟がyoutubeにあげた動画あるのでご覧ください。最後まで読んでいただきありがとうございました。
 https://www.youtube.com/watch?v=5yyX-wb9G7o

masaomoriya
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