物忘れ・認知症

物忘れと認知症の違い

物忘れ・認知症画像

認知症とは、明らかな記憶障害があって、さらに認知機能障害(失語、失行、失認、遂行機能障害 など)がみられ、これらによって日常生活に支障をきたしている状態のことを言います。この認知症は、加齢によって知的な機能が衰えていくとされる物忘れの症状と非常によく似ています。
対して物忘れは自然な老化現象であるので、この場合は問題ありません。
なお、双方を見分ける方法としては、忘れ方に違いがあります。
例えば、物忘れの方は体験したことの一部を忘れている(ご飯を食べた事は覚えているが、そのメニューについては忘れている)、また本人が物忘れをしているという自覚があります。
一方、認知症の場合、体験したことそのものを忘れていて(ご飯を食べた事を忘れている)、物忘れをしているという自覚もありません。
また物忘れは、日常生活に支障をきたすことがないのもポイントと言えます。

ただ上記で挙げたような忘れ方の違いを、ご本人様や同居されるご家族の方が見極めるのは、なかなか難しいことと思われます。そのため、下記のような症状に心当たりがあれば、ご本人様でもご家族の方でも構いません。当院へお気軽にご相談ください。

  • もの忘れがひどい
  • 場所や時聞がわからなくなる
  • 人柄が変わってしまった
  • 判断や理解力が低下している
  • 何事にも意欲がみられない
  • 不安感が強い など

検査について

当院では、認知症が疑われる方の検査として、まず問診から行っていきます。その際に認知機能障害、記憶障害、日常生活に支障などがあるかといったことを確認していきます。その後、記憶検査や知能検査などの神経心理学的検査をしていきます。
さらに詳細な検査が必要と医師が判断すれば、画像検査(CTやMRI)によって診断します。認知症と診断されたとしても、早期に発見することで進行を遅らせることはできます。内服治療やリハビリテーション、介護保険の取得によりデイサービスに通うなどさまざま手段でサポートいたします。そのため、上記の症状に気づいたら、早めに検査を受けることが望まれます。

原因について

認知症を発症する原因は、大きく分けると2つあると言われています。ひとつは、高齢者によく見受けられる、主に加齢によって脳の神経細胞の数が徐々に減少し、そのことで脳が変性を起こし、認知機能障害などが現れる変性性認知症です。このタイプには認知症の中でも最も患者数が多いとされるアルツハイマー型認知症をはじめ、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症などが含まれます。
もうひとつは、脳血管障害が発症することで認知症を招くとされる脳血管性認知症です。これは、脳卒中(脳梗塞、脳出血、くも膜下出血)の発症を起因とする認知症になります。
なお、先に挙げたアルツハイマー型認知症、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症、脳血管性認知症は4大認知症と呼ばれ、この4つの疾患で認知症全体の約9割を占めると言われています。その他、慢性硬膜下血腫など治療により状態が改善しやすいものもあります。それぞれの特徴は次の通りです。

主な認知症の種類

アルツハイマー型認知症

日本人の全認知症患者6~7割を占めます。これは脳内にβアミロイドたんぱくが蓄積されることがリスク要因と考えられ、さらに加齢、ストレス、体質、環境など複合的な要因が加わることで、神経細胞が壊れて減少、これによって脳の神経が情報をうまく伝えられず、やがて機能異常を起こすなどして発症すると言われています。さらに神経細胞の死滅によって、臓器でもある脳自体も萎縮し、脳の指令を受けている身体機能も次第に失われていきます。
発症によって、記憶障害(比較的近くの出来事を忘れる。昔のことは覚えている。)、見当識障害、思考障害(物盗られ妄想)などがみられるようになります。好発世代は70歳以上で、女性の患者数が多く、その割合は男女比で1:2ほどです。

脳血管型認知症

脳梗塞、脳出血、くも膜下出血といった脳血管疾患を発症し、脳血管の血流が悪くなったり、詰まったりすることによって脳細胞に酸素が十分に行き渡らなくなって脳の神経細胞が死滅、それによって発症する認知症です。脳血管型認知症は日本人の全認知症患者のうち2割ほどを占めると言われています。
同疾患の特徴は障害部位にのみ認知機能低下が現れる「まだら認知症」がみられるのも特徴です。このほかにも神経症状(運動障害、感覚障害、言語障害 など)、喜怒哀楽のコントロールがきかない状態といった症状が起きるようになります。

レビー小体型認知症

脳の神経細胞にできるとされる特殊なたんぱく質(レビー小体)が大脳皮質や脳幹に蓄積することで脳の神経細胞が破壊され減少、それによって発症する認知症です。なお、レビー小体型認知症の患者様の4割程度の患者様にアルツハイマー型認知症の原因でもあるβアミロイドたんぱくの蓄積が見受けられることもあります。
主な症状は、認知機能障害や幻視、妄想などの精神症状、またパーキンソンの症状でよく見られる手足の震え、筋肉が硬くなるといった症状がみられるようになります。このほかにもレム睡眠行動障害、立ちくらみや失神といった自律神経症状も現れるようになります。

前頭側頭型認知症

前頭葉と側頭葉の神経細胞が脱落するなどして、これらが萎縮するなどして起きる機能低下で、様々な症状が起きている状態を前頭側頭型認知症と言います。これにはピック病も含まれます。この疾患は、65歳未満で発症することが多く、初期症状では、自制力の低下(人の話を聞かずにしゃべる など)や異常行動、帯同行動がみられ、そのうち言葉の理解ができなくなるなどの症状が出るようになるのが特徴です。

治療について

認知症の治療は難しいのですが、早期に発見し速やかな治療を行うことで、認知症の進行を遅らせることができます。その治療法には、大きく分けると薬物療法と非薬物療法があります。

薬物療法

アルツハイマー型認知症の患者様の場合、脳の神経細胞の破壊によって起きるとされる症状(記憶障害や見当識障害など)を可能な限り改善するようにしていきます。具体的には、認知機能低下を改善させる薬としてドネペジルなどを使用していきます。また精神症状(不安、焦り、怒り、興奮、妄想など)がみられる場合は、非定型抗精神病薬や漢方薬を使用していきます。またレビー小体型認知症の薬物療法も同様ですが、パーキンソン病と同じ症状があれば、抗パーキンソン薬も使用していきます。

また脳血管型認知症では、脳血管障害を再発させることでさらに認知症を悪化させてしまうので「再発予防」に向けた治療が必要になります。そのため、脳血管障害の発症リスクを高くさせる、高血圧、糖尿病、心疾患などの治療をしっかり行っていき、脳梗塞などを再発させないための予防薬(高血圧であれば降圧剤 など)を用いるようにします。

なお前頭側頭型認知症の場合は、現時点で有効な治療法が確立していません。ただ同疾患でみられる特徴的な症状については、対症療法として抗精神薬を使用していきます。

非薬物療法

非薬物療法とは、認知症患者様にまだ残っているとされる認知機能や生活能力を薬物のみに頼らずに高めていこうとする治療法です。ちなみに認知症と医師から診断された時点の患者様に関してですが、その多くはまだご自身で行えることがたくさんあります。したがって、まずは同居されるご家族の方からご本人様に向けてご家庭内で役割をつくる(洗濯物をたたむ、食器を片付ける 等)などして、前向きに日常生活を送れるようにすることが大切です。

また、昔の出来事を思い出してもらう(回想法)、無理をしない範囲で書き物の音読や書き取り・計算ドリルを行う(認知リハビリテーション)、音楽鑑賞や演奏をする(音楽療法)、花や野菜を育てる(園芸療法)、リアリティ・オリエンテーション(現実見当識訓練:自分と自分のいる環境を正しく理解するための訓練)といった方法も効果的です。これらの方法は介護保険によりデイサービスを使うことも行うことができます。介護保険の申請は当院にご相談ください。

このほか、運動療法(ウォーキングなどの有酸素運動)、ペット療法(動物と触れ合う)、レクリエーションなども有効です。いずれにしても無理をさせずにほどほどの範囲にしてください。

もりや脳神経クリニック
診療内容
脳神経外科・リハビリテーション科・内科
院長
森谷 匡雄
住所
〒206-0823 東京都稲城市平尾1丁目33-34
TEL
042-350-3885
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